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感染性胃腸炎

感染性胃腸炎について

ノロウイルスやロタウイルスなどの感染性胃腸炎にかかると、嘔吐、腹痛、下痢、発熱などの症状が現れ、特に、高齢者や乳幼児では、嘔吐や下痢により脱水症状を起こし、危険な状態に陥る場合もあります。

ノロウイルスの感染は主に冬に多く、原因は二枚貝の不十分な加熱です。ロタウイルスは春先から始まり、ウイルスに汚染された水や食品を摂取することで感染します。両者とも、人から人へ接触感染するため、高齢者施設や保育園などの乳幼児施設では、感染者が出た場合、二次感染による流行が懸念されます。7月現在、福島県でも感染性胃腸炎の報告が一部の地域で増えています。(「福島県感染症発生動向調査報告」(福島県ホームページ)より)

これらのウイルスに効く治療薬がないため、水分補給などの対症療法しかありません。

もし、感染性胃腸炎にかかったら、どうしたら良いでしょうか。

まず、脱水を防ぐことが必要です。ただし、嘔吐が続いている場合は、水分補給をすると、それが刺激になって、さらに嘔吐を誘発してしまいます。また、嘔吐や下痢で失われるものは水だけでなく、塩分などの電解質も失われるため、それらも補う必要があります。

このような場合の水分補給に適しているのが、経口補水液です。塩分などの電解質がバランス良く配合されています。OS-1やアクアソリタ、アクアライトなどが、薬局やドラッグストアにて市販されています。

嘔吐が治まってから、時間をあけて、少しずつスプーン1杯ずつ経口補水液を、口に含みます。ゼリータイプがお勧めですが、味の好みが合わない場合もある為、好みのフレーバーを試してみるのも良いでしょう。

 

吐き気があって、水分や食事が摂れない場合、吐き気止めの坐薬が医療機関から処方される場合があります。坐薬というと、早く効くというイメージがありますが、吐き気止めのナウゼリン坐剤は、飲み薬のナウゼリン錠よりも効果があらわれるのに時間がかかると言われています。(参考:最高血中濃度到達時間が、ナウゼリン錠は30分、ナウゼリン坐剤は2時間:各製剤添付文書より)

 

もし、吐き気と発熱があり、口から何も飲めずに、脱水の危険がある場合、吐き気止めと熱さましの坐薬が処方されます。その時、どちらの坐薬を先に使ったら良いでしょうか。

 

答えは、吐き気止めの坐薬→30分経ってから熱さましの坐薬です。もし間違えて、熱さましの坐薬を先に使った場合、直腸内に残った油脂性基剤に吐き気止めの成分が取り込まれてしまい、効果があらわれません。この場合は、1~2時間あけて油脂性基剤がなくなった頃に吐き気止めの坐薬を入れるしかありません。

もう一つ、大事なことは、感染を広げないことです。嘔吐した際の吐しゃ物や便にはウイルスがたくさん含まれており、その処理には注意が必要です。消毒用アルコールでは効果がなく、次亜塩素酸ナトリウム溶液が有効です。汚物には0.1%溶液を散布し、ドアノブや環境の消毒には0.02%溶液でふき取ると良いでしょう。また、汚物処理の際には、マスクと使い捨ての手袋を着用し、処理の後には必ず、石鹸で手洗いをして、手指に付着したウイルスを洗い流しましょう。

 

感染性胃腸炎の発症までには潜伏期間があり、特に、小さなお子様は、突然、症状が現れて、驚く保護者の方もいらっしゃると思います。

事前に、対応の仕方を知っておくと、慌てずに看護が出来ますので、ご参考になさって下さい。また、経口補水液は、これからの時期の熱中症対策にもなりますので、好きなフレーバーを常備しておけば、いざという時に役立ちます。

参考資料

1.ノロウイルスに関するQ&A|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

2.ロタウイルスに関するQ&A|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

3.福島県感染症発生動向調査報告 – 福島県ホームページ (fukushima.lg.jp)

4.添付文書:ナウゼリン錠、ナウゼリン坐剤